深夜特急 読書感想

自己実現

タイトル:深夜特急1 香港・マカオ
著者:沢木耕太郎
発行所:新潮文庫


~あらすじ~ 
インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗り合いバスで行ってみたい
ある日そう思い立った26歳の私(著者)は仕事をすべて投げ出して旅に出た。
途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。
マカオでは「大小」というサイコロ博奕に魅せられ、あわや・・・・。
一年以上にわたるユーラシア放浪の旅が今、はじまる。
いざ、遠路二万キロ彼方のロンドンへ!

~前書き~
本作はノンフィクション作品であり、著者自身の体験記である。
私自身、本作と出会ったことで読書好きに目覚めたといっても過言ではない。
20歳で入社した会社を辞めたいと思うことが何度もあった。
仕事を放り出して海外にでも放浪の旅をしてみたいと考えていた。
そんな時に本作と出会い、本作はまさに私の願望が形になったような内容だった。
当時、夢中になって読んだものだ。
自信を持ってお勧めしたい作品である。

~感想~
おすすめ度:95点/100点中
著者の旅の目的地はイギリスのロンドンだ。
だが、いくら遠いと言っても1年以上も旅をしたってどういうこと?? と思うだろう。
本作は目的地に向かうだけの旅というより、放浪といった言葉が相応しい。
目的地は一応の目標に過ぎず、あてもなく放浪していくことこそ本作の見どころである。
異国の地に一人っきり、誰も自分を認知せず、誰も自分を束縛しない。金銭的には大きな制限があるが時間と行動には大きな自由を得られた。
反面、退屈も伴う場面もあり、インドのデリーで一泊140円ほどの簡易なドミトリーベッドで目を覚まし、日々どう時間を潰そうかと考え、あてもなく街をぶらつき、退屈しのぎをする場面も多い。
もう50年以上前のインドの街、正直、豊さでいえば現代の日本のほうがずっと良いだろう。
しかし、貧しく粗悪な環境のなかでも仕事をし、懸命に毎日を生きる人々がいる。交流を交わしてみると様々な情報を教えてくれ、自身の世界が広がる。時にはちょっと手間を食わされることもあるが全てが貴重な体験であり、それが生きる知恵となる。
現代の日本では人同士の関係が希薄となってしまった。本作は人との関りの持つ面白みを教えてくれる。それこそが人生の醍醐味であると示してくれる。
著者の誠実で素直な人柄とノンフィクション作家として培ってきた文章力により、冗談等も多く、読みやすい文章であるにも関わらず、上質な文体を保っている。
仕事ばかりで忙しく、辛い日々を過ごしていたときに通勤途中で本書を読んだときの衝撃は今でも忘れられない。面白く、徐々に引き込まれ、今後の展開にワクワクした。心の世界が広がり、豊かな気分に浸れた。そして、著者に強い憧憬や嫉妬の念を持ったことも覚えている。

以上





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